島根県に行った際に松江城を訪問してきましたのでご紹介します
1|松江城 外観:威厳と機能が融合した天守
江戸初期に築かれた松江城は、現存する数少ない天守のひとつ。
戦の備えとしての堅牢さと、領主の威信を示す美しさを兼ね備えた建築です。
石垣と木造建築が一体となり、400年以上経った今も風格を保っています。
2|通し柱:構造の要を学ぶ
松江城の内部には、松江城の国宝の決め手の一つになった特徴的な構造があります。
全国で同時期に多くの城が築城されていた中で松江城の築城も始まり、木材不足での築城。そのため姫路城の心柱のような大きな柱を作る木が手に入らなかったため、心柱を使わない2階分の短い通し柱を配置して天守を支える構造となっています。天守の柱308本の柱のうち96本が通し柱1階から最上階まで1本で通された「通し柱」が何本も使われています。
高さのある建物でもこの構造で揺れに耐え、重力を支える力強さが、今も現地で見学できます。
3|包板:構造と意匠の融合
柱の側面には、木材を包むように取り付けられた「包板(つつみいた)」があります。
これは単なる装飾だけではなく、割れ隠しなど不良材の体裁を整え、柱の角を保護しつつ、周囲の壁面や建具との取り合いを美しく・安全に仕上げるための工夫です。
こうした細部の納まりには、現代の内装施工でも応用される“機能と見た目の両立の精神が感じられます。
「見えないところほど丁寧に」。その哲学が、松江城の随所に生きています。
4|建築から学ぶ、現代施工へのヒント

松江城の内部を見て強く感じたのは、空間構成・素材の選定、工夫・全体の納まりへのこだわり。
どれも、私たちが現代の現場で日々向き合っている課題と本質的には変わりません。
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通し柱に見る、構造と素材の活かし方
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包板に見る、デザインと美意識
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内部全体に宿る、“空間を意識した設計”
歴史的建築は、過去の遺産ではなく未来のものづくりへのヒントの宝庫だと改めて実感しました。
◆ おわりに
私たちディレクトは、日々の施工現場でも「見えない部分こそ美しく、丁寧に」という姿勢を大切にしています。
松江城での気づきもまた、未来に誇れる空間づくりの力になってくれるはずです。